これまで培った理系の知識を生かして、自由研究のおすすめテーマをご紹介していきたいと思います!
この記事では、
『結晶ができる原理も理解できる!ミョウバン結晶づくり』
をご紹介していきます。
5年生の理科では、ミョウバンと食塩の溶解度について学ぶ単元があります!
この記事で紹介するミョウバンの結晶づくりは、
教科書の発展的なコーナーで紹介されている実験なので、
授業時間数の関係でやっていない学校も多いのでは、と思います。
キラキラな結晶が成長するようすを観察するのはとても楽しいし、温度変化による物質の溶解や析出について理解するためのとてもよい実験だと思うので、ぜひ自由研究で取り組んでみてください✨
ただし、ミョウバンを溶かすために熱いお湯を使いますので、やけどには十分気を付けて、必ず保護者の方の付き添いの元で実験を行ってください!
【結晶ができる原理】なぜミョウバンの結晶を作ることができるの?
なぜミョウバンの結晶を作ることができるのか、簡単な原理を説明します。
まず、こちらのグラフをまずご覧ください。
これはいろいろな温度で、食塩がどのくらい溶けるのかを表しています。
このグラフからわかることは、
『食塩は、溶かす水の温度がどの温度のときも、溶ける量はほとんど変わらない』
ということ。
(意外ですよね!?)
一方、ミョウバンのグラフがどんなかんじかというと…こんな感じです!
ミョウバン(焼きミョウバン)は、
水の温度が低いと溶ける量が少なく、水の温度が高いとたくさん溶ける
ことがわかりますね!
結晶づくりは、この性質を利用して行います!
高い温度(60℃以上)の湯に、焼きミョウバンを溶けるだけとかしたあと、その水溶液の温度さげたときに、溶けきれなくなる焼きミョウバンを結晶として取り出すのです!
水溶液の温度を、普通の状態で下げていくと、底の方に細かいミョウバンが析出するだけなのですが、
これから紹介する方法で焼きミョウバンを溶かしたり、温度を下げると、析出する焼きミョウバンをきれいな結晶として取り出すことができます!
材料・道具
焼きミョウバン
(薬局で200~500円ほどで購入できます。学校の理科の実験で使っているのは、結晶ミョウバンですが、焼きミョウバンのほうが市販のもので手に入りやすいので、焼きミョウバンを利用しています。)
60℃以上のお湯(100℃に沸かしたお湯をコップに移すだけで冷めて70℃~80℃くらいになると思います。熱いお湯を扱うのでやけどに十分注意してください!)
測り(↓このような調理用のもので大丈夫です)
温度計
物体温度も測れる非接触体温計がもしあったら、攪拌しながらの温度測定をラクに行えます▽
ゼムクリップ
チャッカマンやライター
水溶液をつくるための容器(なるべくきれいなもの)
ろ紙(コーヒーフィルタで代用可)
保温バッグ(ミョウバン水の温度をゆっくり下げるため)
水溶液を攪拌する割りばしなど
水溶液をつくるための容器をなるべくきれいなものにする理由は、
ミョウバン水をきれいに保つことっで、きれいな結晶をつくることができるからです。(不純物がなるべく入らないように気を付ける!)
わたしは、透明で少し大きめなプラコップ(200mlの湯を入れてかきまぜられる大きさ)を使って作りました。
透明なので、結晶の成長を外から確認することも出来ます。
※プラコップは不安定なので、攪拌するときにコップが倒れて熱湯でやけどしたりしないように、紙コップホルダーをとりつけて攪拌しました。
実験の手順① (結晶の核になる種結晶づくり)
①下の図のような、ミョウバン水をろ過できる装置を作っておく。
ミョウバンをお湯に溶かしたものをろ過する装置です。
②測りでミョウバン40gを測っておく。
③60℃より高い温度のお湯200mlを透明なプラコップなどに用意する(100℃に沸かしたお湯をコップに移すだけで冷めて70℃~80℃くらいになると思います。やけどに注意!)。
④②のミョウバンをお湯に入れて攪拌して溶かす。
お湯が冷めてしまうとミョウバンが溶けなくなってしまうので、手早く攪拌して溶かします!
とはいっても、子供は攪拌する作業に慣れていないため、手早く行うことは難しいかもしれないので、水温が下がって溶けにくいと感じる場合は、湯煎しながらおこなってください。
(温度計で温度を測りながら行うといい。)
⑤ミョウバンが全て溶けて透明の液体になったら、①で作った装置でろ過をして、ミョウバン水に含まれているちいさな不純物をとりのぞいきます。
⑥ ⑤の水溶液を、保温バッグに入れて、ゆっくり温度を下げる。
保温バッグに24時間入れておく。
⑦24時間後、コップの底にたまっているミョウバンの結晶から、大きくてきれいなものを選ぶ。
選んだ結晶を、種結晶にして、ミョウバン水溶液につけて結晶を成長させます!
コップの底に析出した結晶を取り出し、くっついているものは断面がきれいになるように切り離し、なるべく正四面体で表面がきれいで、にごっていない結晶を何個か選んで種結晶にします。
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実験の手順②(種結晶を成長させて大きな結晶にする)
たくさんの結晶の中から、これらの結晶(↓)を種結晶として選びました!
選んだ種結晶を、新しいミョウバンの水溶液に浸して結晶を成長させるのですが、
教科書では、テグスで結晶を縛って水溶液に浸すというやりかたが紹介されています。
しかし、このやり方は、わたしも一回やってみたのですが、すぐほどけたり、うまく縛れても滑ってとれてしまったりしてとても難しくて時間をかけてもうまくできませんでした。
そこで、いろいろ調べ太めの銅線を加熱して結晶に熱が冷めないうちに突き刺す(銅線に触れた部分だけの熱で結晶が溶けて結晶に銅線を差し込むことができる!)方法があるということを知り、そちらを試したらとてもうまくいったので、そちらの方法を紹介します。
銅線は家になかったので、わたしは、ゼムクリップを伸ばして使いました。
ゼムクリップはあとあと割りばしにひっけやすくて、とてもよかったです!
種結晶に加熱した銅線をさす作業は、火を扱う作業なので、おうちの方がやってあげてください!
ゼムクリップの外側のカーブだけまっすぐにして、先端をチャッカマンなどで加熱して、先端が冷めないうちに、種結晶に差し込みます。
これを結晶に成長させたいきれいな種結晶すべてで行ってください。
種結晶ができたら、種結晶を成長させるための新しい水溶液を、<実験の手順①>の②~⑤の手順で作ります。
1つのコップに種結晶2個くらい入れられると思うので、すべての種結晶を入れられる個数の水溶液を用意してください。
作った水溶液が、室温くらいに冷めたら(熱い水溶液に浸すと種結晶が溶けてしまいます。)、種結晶を割りばしにつるして浸します。
このコップの温度を、<実験の手順①>のときと同様に保温バッグなどに入れて温度をゆっくりさげていくと、種結晶が成長していきます。
保温バッグに入れるのは、ほこりが水溶液に入らないようにする意味もあります。
密閉してしまうと、水溶液が蒸発しにくくなり、結晶が析出しにくくなるので、少しすきまを開けとくとよいと思います。
2日経過後、成長した結晶はこちら!
少し崩れていますが、正四面体っぽい形をしています。
もうちょっと大きくしたかったので、②~⑤の手順でもう一度新しいミョウバン水溶液をつくり、結晶を、新しい水溶液に浸して再び結晶を成長させました。
24時間成長させた結晶がこちら!
2センチ弱まで大きくなりました!
結晶の周りにまた小さな結晶ができてしまってきて正四面体がくずれてきたので私はこれで終了しましたが、水溶液を作って結晶を浸すというやり方を何度も繰り返すことによって、
どんどん結晶を成長させることが出来ると思います!
わが家の子供たち、この結晶を見て大喜びでした^^
娘は今も宝石箱に入れて大切にしています^^
わたしがこの実験をしたのは冬の寒い時期で、暖房のきいていない部屋に水溶液のコップを置いていたため、水温が結構低くなっていたと思うのですが、夏に実験をする場合、室温が冬より高めなので、冬より結晶が析出しいにくい条件になっていると思います。
もし結晶が析出しにくかったら、室温まで水温が下がった状態で、保冷剤を入れてみたり、保温バッグを冷蔵庫に入れてみるなどの工夫をしてみてください!